<准学校心理士資格認定委員会より>准学校心理士・学校心理士の将来展望

[2019.5.27]
准学校心理士資格認定委員会委員長
大野精一(星槎大学大学院 教授・研究科長)

1997年(平成9年)から始まった学校心理士認定事業はもうじき25年(四半世紀)を迎えます。
当時の学校心理学会・高野清純理事長の下,この制度の設計を開始して以来,実に長い年月が経ちました。
文字通り,歴史的検証に耐えて残ってきた制度と言っていいと思います。
だからこそ,これからの四半世紀を見据えた展望が重要になるのです。
すでに古きを過ぎた私ではなく,これからの時代を担う若い准学校心理士の方々に,
この制度の充実発展をお願いするいい機会となりました。

おそらくは学校等で教育職(校長・教諭・養護教諭等)以外で心理士として仕事をする場合には,国家資格としての公認心理師が必要となります。
このことは間違いないと思います。
ただもしこの前提が正しければ,しかもその養成が現実の必要数を越えているとすれば,国家資格たる公認心理師は スクールカウンセラー等の心理職の任用条件で必要であってもそれだけで十分とは言えません。
なぜならここでは需要を超えた供給過多(教員免許状と同じ)の資格認定が行われている可能性があるからです。
そもそも公認心理師は極めて高い汎用性の資格として制度設計されている以上は,これは論理的に必然であることかもしれません。
だとすれば公認心理師も何に強い,あるいはどの分野を専門としうるかという挙証をしなければ心理職として採用されるには十分ではなく,ここをどうするかが大きな問題となります。
ここで教育に強い「学校心理士」が出てきます。
つまり「公認心理師(学校心理士)」という表記ができることが極めて重要になると想定しています。
これからは,准学校心理士の皆さんには学校心理士の資格取得を目指していただき,学校心理士を有しない公認心理師との共働をしていただければと願っています。
古きを過ぎた委員長として私にとっては,自己責任として教育分野における国家資格創設(教育職員免許法の改正。場合によっては学校教育法本法の改正)として 「支援教諭(相談教諭)」の最後の力を振り絞ってみるつもりです
支援教諭(学校心理士)は,文字通り心理に強い教育職の表記であるからです。
私はまだまだ頑張るつもりですが,まだまだ未来のある若い皆さんには,ほどほどのお力添えをお願いしたいと思っております。